室内環境学会会長 池田耕一
(国立保健医療科学院建築衛生部部長)
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。昨年の日本漢字能力検定協会による「今年の漢字」は、皆様よくご存知のとおり「偽」でした(写真参照、日本漢字能力検定協会HPより)。

これは、昨年は、食品や高速道路の型枠強度の耐震偽装、それと相も変わらない政治における各種の公約違反や偽証ではないかととられるような政治家や役人の発言等、さらにお隣の中国における種々のコピー商品と言う名の偽装品の氾濫など、「偽」を象徴するものが多く話題となった年として、文句なしの選考であったと考えられています。
特に建設関係では、2005年に起こった姉歯英次一級建築士による耐震偽装騒動がそろそろ収まりかけた頃、再び高速道路の型枠における偽装が発覚し、またまた建設界は、「偽」に揺れることになってしまいました。その影響が、端的に現れているのが、建築申請時における耐震強度検車の厳格化で、許可が下りるまでの時間が長くなり、着工件数が激減しているとの事です。その辺の「偽」を深く反省する意味で、最近の建築関係では、「正直な建築」と言うのがちょっとした流行コピーとなっているようです。これを室内環境に当てはめるとすれば、「正直な建材」を使って、室内空気を化学物質などで汚染しないようにするとともに、汚染されていないことを「正直な計測」により検証すると言うことになるのでしょうか。
但し、わが室内環境学会は、昔から、「正直な学会」として何一つ社会に対し「偽」を疑われるようなことは一切してこなかったと胸を張ることはできるでしょう(そんなの当たり前か)。そして、そのことを具体化する事業として、昨年度は、空気清浄機の微生物除去能力測定法の「正直さ」を証明するための検証方法を確立し、実際の学会規格による空気清浄機の性能評価第1号を実施することができましたことは、会長として大変喜ばしいことと考えております。何しろ本学会は、正直であるのはもちろんのこと、「社会に、そして皆様にとってお役に立つこと」を学会のキャッチコピーを掲げてきたが経緯があるからです。これを足がかりに、今年は、化学物質に関する各種の学会標準も確立し、微生物と化学物質の両面における社会貢献を果たして行きたいと考えています。
もちろん学会ですから、学術面での真摯な討議や運営面での透明性をいっそう発展させていくことは言うまでもないことです。実際、会員わずか数百名の学会ではありますが、会誌は、年2回決まった月に定期的に刊行されるようになりましたし、学会の総会における学術的な質疑や学会役員による会務の民主的な運営の場での率直な意見交換などはかなり活発に行われるようになりました。この原因の一つに、本学会創設以来の重鎮的会員に加え、40代前半の働き盛りの会員が積極的に参加してくれるようになったことがあります。世代交代もうまく行き、既に立ち上がっている九州支部に続き、東北支部も来年からは活動を開始することになっており、今後も着実な発展をして行く活性化された学会となるものと信じております。
今後とも、会員各位の一層のご支援をお願いいたします。